マフラー族後輩A :「うわあ〜イイ音っスね〜」
マフラー族トオル :「1990年代のF1エンジン音だっつーの!!」
マフラー族後輩B :「ホント最高ッスね。どうやってダウンロードしたんスか?」
マフラー族トオル :「へへへ、ちょっと生意気な音出してた小僧からナ…」
マフラー族後輩A :「またヤッたんスか〜」
マフラー族トオル :「ちなみに、そいつのは原チャリサウンドに書き換えてやったよ」
マフラー族後輩A :「‥‥‥」(うわ〜ひでえなああ)
トオルの女アケミ :「‥‥」(つーか、チョーーうるさいんですけど〜)
千野エーさんが作品を制作するに当たって設定した背景やコンセプトを紹介します。
未来の車へと繋がっていく現代の車はハイブリッドカーだと思い、そこから想像を膨らませていきました。
ハイブリッドカーの目標である「低燃費、低排出ガス」は、今後も追いかけ続けていくテーマだと思います。それらの現実化が進む程に生じる理想とのズレや副産物こそが未来というものなんだと思います。
事実、利便性や経済効果を追求した活動の果てに訪れた21世紀は、「環境の顔色を伺いながらの活動」になったと言えます。
ハイブリッドカーの進化の先にある問題のひとつ、「エンジン音の軽減」に注目してみました。それは現代でも起こり得る問題だと思います。
ハイブリッドカーは低速移動時にはモーター駆動によって、とても静かに進みます。未来であれば高速時でも静かなはずです。
すると、このハイブリッドカーと歩行者との間で、見通しの悪い街中などで起きる接触事故が多発するようになります。
凶暴なエネルギーを持った高速移動中の車なのに、エンジン音もなく近付いて来られれば、今よりも多くの交通事故が起きる可能性があります。
そこで、未来のハイブリッドカーには走行を周りに知らせるための警告音(現代で言うエンジン音)の出る装置の取り付けが、法律によって義務付けられます。
そしてその法律では、決められた音量以下でも以上でも取り締まりの対象になります。
街中では嫌でも騒音を出して走らなければいけません。
そしていつの時代もルールに縛られずに自己主張をしたい若者がいるものです。
彼らはエンジン音発生機(昔で言うマフラー)に違法改造を施し、闇のサイトで禁止されているエンジン音(ガソリン車時代の名車サウンドなど)をダウンロードし、そのノイジーなサウンドを楽しんだりしています。彼らは「マフラー族」と呼ばれています。
その音量や音質は、仲間同士(マフラー族)の力関係の縮図でもあり、上の人間ほどうるさいマフラー音を響かせたりしてます。
今ではもうエンジン音を録音できるガソリン車はほとんどない為、デジタルで偽造されたマフラー音も普及しています。(本物を録音した無修正データはかなりの高額)
中には勘違いしてバイクの音を掴まされたり、信じられない事に昔の電車や飛行機の音で満足している変り者もいるようです。
そのようにハイブリッドカーを改造し、100年以上前のアナログ文化を取り入れる彼らの行為は、チューンナップならぬ「TUNE DOWN」と呼ばれています。