70年代から80年代にかけてフェラーリの頂点に君臨していたのが512BBだ。71年のトリノショーで最高速度302km/hをうたって登場した365GT/4 BBを受け継ぎ、512BBは76年のパリサロンでデビュー。512は5Lの12気筒を意味し、BBはボディ形状を示すベルリネッタ(クローズドクーペ)と水平対向ボクサーエンジンの頭文字を取ったものだ。ドライサンプでコンパクト化が図られた12気筒エンジンがミッドに搭載されている。
排気量は365GT/4BBの4390ccから4942ccへ拡大されたが、最高出力は380psから512では360psへダウン。エンジン特性を見直した結果だが、その分低速域の粘りは増している。デビュー当初はウェーバーキャブレターを4連装していたが、その後アメリカの排ガス規制に適合すべく、インジェクションのKジェトロニックへ変更。最高出力は340psに落ちたがさらに低速での扱いやすさを増し、512BBiとインジェクション仕様を示す車名に変わる。
シャシーは鋼管スペースフレーム、ボディは強度確保や軽量化を考えて鉄、アルミ、樹脂をうまく配分して使用。サスペンションはレーシングカーと同レベルの4輪ダブルウイッシュボーンとし、重いエンジンを積むリアはツインダンパーとなっている。12気筒エンジンは長く大きく、リアセクションにぎっちり積まれている感じだが、一方で乗員のためのキャビンは比較的広く、つくりも豪華でGTカーにふさわしい雰囲気を与えられている。
ピニンファリーナの手になるボディデザインは今のフェラーリに比べるとウェッジ感が強く造形もシンプルに見える。フロントスタイルは当時の308と共通点も少なくないが、全長4400mm、全幅1830mm、全高1220mm、ホイールベース2700mmというサイズはひと回り大きく、車重もV8を積む308GTBiの1470kgに対して512BBiは1585kgと100kg 以上も重い。84年のパリサロンでテスタロッサがデビューするまで、8年間にわたってフェラーリのトップレンジを守る。


