昨年、トヨタに抜かれるまで76年にわたって世界生産世界一の座を守ってきたGM。キャデラックはその高級車部門を受け持ち、ブランドイメージの向上に貢献する一方で、アメリカを代表するクルマとして90年以上も大統領専用車に採用されている。全長は6.5mを超え、防弾処理などで車重は3.5トンに達する大統領専用リムジンには、ホットライン専用無線、高性能発電機なども積まれ、世界一安全な空間をつくり上げている。
53年にデビューしたエルドラドは、73年の第1次オイルショックを乗り越えた70年代後半からセールスを伸ばし、キャデラックの屋台骨的な存在となっている。79年の生産台数は6万7000台を超え、84年にはクーペ、コンバーチブル合わせて年間7万6000台に達している。セダンならいざ知らず、V8を搭載するクーペがこれだけ売れていたアメリカは、オイルショックの打撃を受けたとはいえ、やはり日本とは違う世界だったのだろう。
一方で80年代終盤〜90年代を象徴するアランテは、ビッグスリーの天下だったアメリカでもメルセデス・ベンツや日本車が台頭し、それに対抗する必要性が出てきたことを物語るクルマだ。アメリカのモーターショーでなくパリでデビューさせ、さらにピニンファリーナの起用などで今までのキャデラックとは違った方向性を打ち出す。メカニズム面でもFF車では初のトラクションコントロールをアランテに採用している。


