アメリカンドリームを体現するクルマとして一世を風靡(ふうび)したキャデラック。日本にも早くから上陸し、VWやメルセデス・ベンツが輸入車の代表格となる前からあこがれの的であった。50〜60年代のビッグボディ&テールフィンの時代も捨てがたいが、70年代以降も魅力的なクルマを世に出している。その代表格ともいえるエルドラドは53年にデビューし、2002年まで50年にわたって生産され続け、多くの人を魅了してきた。
初のキャデラック・ブランドのクルマがラインオフしたのは1902年と古く、29年の世界大恐慌、第2次世界大戦、そしてオイルショックとさまざまな苦難をくぐり抜けてきた。09年にGM傘下に入っているが、高級車としてのブランド力は衰えるどころかさらに強まることになる。そんな中で生まれたエルドラドは、アメリカ車には珍しく早くからFF(前輪駆動)を採用。67年モデルはキャデラック初のFF車として注目を浴びることになる。
73年には世界をオイルショックが襲い、エルドラドもダウンサイジングの洗礼を受けるが、それでも80年代初頭の仕様は全長5200mm、全幅1830mm、全高1390mmと堂々としたもの。4輪独立懸架のシャシーにV8を搭載し、日本へは4.1Lエンジン搭載車が輸入されている。80年代のキャデラックはテールフィン時代のような華やかさはないものの、フラットなボンネットとトランク、ホワイトリボンタイヤなどアメリカンムードにあふれている。
80年代後半に世に出たキャデラック アランテは86年のパリサロンでデビューし、デザイナーにはピニンファリーナを起用。FFのシャシーをデトロイトからヨーロッパへ送り、ピニンファリーナ社で組み立てるという念の入れようで、当時はメルセデス・ベンツ SLのライバルと目されていた。アメリカン・コンバーチブルならではの伸びやかなスタイルと、ピニンファリーナの融合という形になり、80年代終盤のキャデラックを物語るクルマとして語り継がれている。


