スズキ・アルトは昭和54年に47万円という驚異の低価格で登場した、軽ブームの火つけ役だ。6代目にあたる現行モデルもなかなかリーズナブルで、実用本位のシンプルさ、割り切りの良さが魅力とされている。ボディ形状はオーソドックスな5ドアのみ。エンジンは全グレードDOHCの直列3気筒を搭載し、54馬力の最高出力を誇る。
普通車並みの豪華さを狙い、かえってチープになってしまっていたこれまでの軽自動車。アルトはそんな背伸びをやめ、シンプルに使いやすさを追求することで、結果的に上品な印象を与えている。それを特に実感させられるのがインテリア。円をモチーフとしたデザインはスッキリとしていて見栄えがよく、使い勝手にも優れている。余計なスイッチなどもなく、初めて乗っても操作に戸惑うことはないだろう。
ファブリック素材のシートはダイヤ柄が入ったアプリコットカラー。黒やグレーと違い室内が明るく感じられ、実際の寸法以上に広い印象を受ける。近年流行のハイトワゴンと比べると全高が低いため、居住性では一歩譲るが、前席より後席の着座位置を高めるなど工夫を凝らし、快適性は十分。簡単に折り畳める後席や、豊富な小物入れなど実用性の高さも抜群。なお分割可倒式でリアヘッドレストが付くのは、最上級グレードの“X”のみ。
一見シンプルに見えるアルトのスタイリングだが、じっくり見ると実は非常に凝っていることが分かる。フロントは特に力が入っていて、横から見るとボンネットとフェンダー、ホイールアーチの三つの曲線がリンクし、個性的なルックスを演出。平坦で貧弱になりがちな軽自動車のサイドビューとは一線を画している。一方、リアスタイルは実用性を重視したシンプルなデザイン。それでもエッジを入れるなど、こだわりを感じさせる。