

2輪メーカーから4輪進出にあたって一般的な乗用車ではなく、軽トラックと小型スポーツカーをリリースするなど、スポーツイメージの高かったホンダが、"エスハチ"の愛称で呼ばれるスポーツ800以来四半世紀を経て投入したスーパースポーツカーがNSX。
ネーミングのNSXはニュー・スポーツカーに究極を示すXを加えたものだ。この車両は企画段階からパワーウェイトレシオに加えてホイールベースウェイトレシオも重視。軽快なハンドリングを身上とするライトウェイトスポーツでもなければ、絶対パワーをアピールするスーパーカーでもない。トータルでの運動性能をより高めたミドルウェイトクラスに着目し、エンジンをドライバーの背後にマウントするミッドシップ・レイアウトを採用。
そして徹底した軽量化を追求し、量産車としては世界で初めて、オール・アルミ・モノコックを採用することになった。鉄に比べて比重が約3分の1と軽量なアルミは、リサイクル性にも優れていたが、その反面で成形や溶接など、これを素材にクルマのモノコックを造るのは容易でなかった。そこで、剛性を高める新たなアルミボディ構造の開発に加えて、専用工場による新しい生産加工技術を確立。結果、ボディの重量は210kgに収まり、スチールボディに比べて140kgもの軽量化を実現することになった。
その一方で、ドライビングのテイストについても、ホンダは新しい提案を行っている。乗り手を選ぶ気難しいスポーツカーではなく、それに夢を抱いていたなら、それぞれの資質に応じて、最高の性能を引き出せるスポーツカーを目指したのだ。
元F1ドライバーで、事故により車イス生活を送ることとなった故クレイ・レガッツォーニ氏が出演したCMが、その思想を一歩進めたものとして注目を集めたことは記憶に新しい。
ホンダが提案した「新しいスポーツカー」は、累計1万8千台以上が販売されることになり、市場から受け入れられたことが証明されている。また、ライバルメーカーに緊張感を与えたことも明らかで、世界中のスポーツカーを進化させた、エポックメイキングな1台として歴史に名を刻むことにもなった。



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