この年のモーターショーにおいて三菱自動車が出品した二台のSUW(スマート・ユーティリティ・ワゴン)シリーズ。そのコンパクトバージョンが、このSUWコンパクトだ。ボディの四隅に配されたタイヤ、グラスエリアのデザイン処理、センターに配置されたデジタルメーターといった要素だけに注目すれば、イギリス生まれでドイツ育ちの、あのクルマに似ているというイメージを受けるかもしれないが、それはおそらく偶然だ。
シティコミューターの延長にある扱いやすさを狙いつつ、省燃費も目指したのが、このクルマのコンセプト。そのための基幹技術となったのが1.1Lのガソリン直噴(GDI)エンジンと軽量ボディである。とくにボディはわずか800kgと軽量に仕上げられ、優れた燃費性能の実現だけでなく、キビキビしたハンドリングにも貢献している。
フロントに収まるパワーユニットはアイドルストップ機能を持ったガソリン直噴エンジン。それに5MTを組み合わせている。同様のパワートレーンをすでに「ピスタチオ」という実験的なモデルとして市販されたものであり、コンセプトカーとしては現実的な技術を搭載しているといえよう。もっとも直噴エンジンはピストン位置に合わせて燃料噴射できるという面でアイドルストップとの相性がよく、熟成されたシステムを使うことは理にかなっていた。
また、細かいところではオルタネーター制御による減速エネルギーの回生を実現することで発電効率を高めている点に注目したい。エネルギー回生ということに限っていえば、これは一種のマイルドハイブリッドである。コア・テクノロジーは意外なほど現実的なものだった。なお欧州式での燃費は4.5L/100qとなっていた。
1.1Lという小排気量のGDIエンジンは途絶えてしまったが、このフェンダーデザインは現行車にその名残を感じることができる。そのクルマとは、コルト・ラリーアートVersionRである。SUWコンパクトのデザインコンセプトにある『アーチ状のフェンダーにより、低重心で安定感のある個性的なデザイン』は、まさしくコルト・ラリーアートのエクステリアからも感じられる。また、このコンセプトカーで考えられていたMTベースのAT(いわゆる自動MT)やさらなる軽量化技術というのは次世代のランサーエボリューションに使われる技術の先鞭(せんべん)をつけたものという見方もできる。間違いなくコンパクトであり、スポーツ性能のコンセプトを提示していた一台だ。

| 全長 | 3580mm | 全幅 | 1685mm | 全高 | 1515mm |
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| パワートレーン | 直4ガソリン直噴+5MT | ||||




















