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日産GT-Rスペシャルエッセイ編

初夏に乗りたいオススメ高級スポーツカー特集

「僕と従兄弟とGT-R」

エッセイとインプレッションが合体した新感覚の読み物「ニューモデル・エッセイ」。現実とフィクションの世界に登場する車は話題の日産GT-Rだ。

「兄貴、まだ日本車を忘れた方がいい?」

「読んだよ。原稿・・・」
「原稿?」
「あの文章は、俺へのメッセージだろ?」
 兄貴は悟っていた。
「電話を寄越せって、行間から伝わってきたよ。生意気なことするな!」
 そう言ってまた一つ煙を吐き出し、小さく笑った。

「まだ日本車を忘れた方がいい?」
 僕は、そう言ってみた。兄貴が口にしたあの言葉が僕の心に強く突き刺さったことなど気に留めていない可能性もあったが、試すように僕はそう言ってみたのだ。

「あの言葉は撤回する」
「覚えていた?」
「もちろん、あの言葉は訂正する。ポルシェを超える日本車が現れたのは、どうやら事実のようだな」

「僕の言葉を信じるの?」
「だからもう注文した」
「買ったの?」
「明日納車だ」
「日本車党に戻るの?」
「だって、あの原稿は、そんなメッセージだったんだろ?」

 僕らはその翌日、横浜の首都高速インターチェンジで5年ぶりに再会した。

木下隆之(きのした たかゆき)
木下隆之(きのした たかゆき)
レーシングドライバー/自動車評論家
国内外のトップカテゴリーで活躍。ニュルブルクリンク24時間レース(ドイツ)での入賞や、スーパー耐久2年連続チャンピオン獲得。最多勝利数記録更新中。一方で小説も上梓。雑誌やテレビ等でも活躍。独特のタッチの文体や語り口にファンが多い。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

文:木下隆之 Photo:内藤敬仁

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