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日産GT-Rスペシャルエッセイ編

初夏に乗りたいオススメ高級スポーツカー特集

「僕と従兄弟とGT-R」

エッセイとインプレッションが合体した新感覚の読み物「ニューモデル・エッセイ」。現実とフィクションの世界に登場する車は話題の日産GT-Rだ。

「GT-Rだって勝負にならない、日本車は忘れろ」と5年前に従兄弟が放ったひと言

 兄貴と呼んで慕っていた3才年上の従兄弟が電話を寄越すなんて、もう5年ぶりだったと思う。僕はまるで実の兄弟のように接してきたのだが、このところ顔を合わせる機会もなく、昔のようにドライブに行くこともなくなっていた。疎遠になったのは特に二人の仲に問題が生じたわけではないのだが、ちょっとしたきっかけがそうさせたのも事実なのだ。

 そのきっかけとは、実に些細な、こんな言葉である。
「いつまでも日本車じゃない。速いクルマが好きならば、もう日本車は忘れた方がいい」

 兄貴は僕にとって、クルマの師匠のような存在だった。僕より3年早く免許証を取得して街を走り回っていたし、知識も3年分多く積み重ねていた。ドライビングテクニックも3年分進んでいたから、常に僕のクルマの趣味趣向を導いてくれるような存在だった。そんな兄貴はビジネスを成功させると金銭的に余裕を手にし、その時期とシンクロするように日本車党から熱狂的なポルシェ党に移っていった。僕を置き去りにするように。そんな兄貴が僕にとっては衝撃的なそのひと言を見舞ったのである。

「スカイラインGT-Rもダメなの? R34」
 僕はそうすがってもみたけれど、それでも言葉は厳しかった。
「そんなもん、勝負にならないんだ。せっかくクルマ好きに生まれたんだ。もっと凄い世界を知った方がいい・・・」

 あれから5年が経った。偶然に兄貴が電話をしてくるこの日まで・・・。
 もっとも僕は、従兄弟が電話連絡を寄越すように仕組んでいたのだ。偶然でもなんでもない。だって僕は、あの言葉に対するリベンジを企んだのだ。連絡が途絶えていた兄貴に、自動車雑誌の誌面を利用してあるメッセージを送り続けていたのである・・・。

 日産は2007年の12月6日に“GT-R”というスーパースポーツカーを世に送り出した。そして僕は、その性能が卓越していて、世界のスーパースポーツ群と対等に戦えるだけの速さを備えていることを、専門誌でなんども紹介していたのだ。兄貴がその記事に目を通しているであろうことを頭に描いて、である。

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文:木下隆之 Photo:内藤敬仁

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